スロージュエリー・ストーリィ


 ■ 母の形見

「もうずいぶん前に亡くなった、母のものなんですが・・・
いかにも古い石の形だから、どうにもなりませんよね。」

と、あきらめ顔でいらした女性。

戦後、日本で宝石を販売していたお店といえば、
多くは時計屋さんだったりします。
その店には、大体このような形の石を
小さな爪で留めて作った指輪が多かったのです。

その昔は、かの有名な銀座でも
こんな感じの石の形がほとんどだったといいますから、

必然的に、母や祖母の形見として持ち込まれるものは、
この形の類のものが多くなります。

それで、何とかおしゃれに作り変えたいと誰しも思うのだけれど、
なかなか垢抜けたデザインにすることが難しいわけです。

お客様によっては、石を割って形を変えてください、
なんていう方がいらっしゃる程です。




このように、どちらかというとデザイン提案がし易いとは
言えないものかもしれません。
もちろん石をカットなどしたら、果たしてどんな色が現れるのか
わからないわけですから、極力再カットなどは避けたいものなのです。


★そこで私のスロージュエリー


デザイン提案は、お話の中に
たびたびゴルフの話題が出ることから、ひとつのアイデアがひらめきました。

体力の衰えを自覚して、というわけではないでしょうが、

「もういささかゴルフも卒業しようかと思っているんですよ。」

と、おっしゃっていました。
そこで、ゴルフの楽しさを刻むジュエリー
なるように提案をしてみました。
リゾートゴルフ場
ハワイなどリゾートのゴルフ場には、
海を望む素晴らしい景色のホールが
あったりします。
そんな海に浮かぶグリーンは、ゴルファーにとっては憧れの的。

風の読みがとても難しく、
景色の美しさとは裏腹に
難コースとして有名なホールだったりします。

そんなゴルフの醍醐味のひとつのシーンをイメージして、
ジュエリーに仕立てることにしたらどうでしょうか。




はじめに危惧された石の形も、
これならばなんの問題もありません。

デザインイメージ1 "このデザインにするからこそ、
こういう石の形のものを探し当てた。
" と、

それまでの経過を知らなければ
何の違和感も感じないものとなるはずです。

まさにこの石でなければ、
生まれなかったジュエリーとなるのではないでしょうか。

今にも入りそうなゴルフボールには、
小さな真珠の粒を使いましょう。

ヒスイをグリーンに見立てて、
デザインイメージ2 海はブルーサファイヤです。

そして、バンカーにはダイヤモンドを敷き詰めて完成です。

ネックレスに下げてペンダントに、
また襟元にブローチにも、と使えるように、
ツーウエイの工夫をしてあります。

「なんて素敵なゴルフ卒業記念でしょう・・・!」

完成!


もうゴルフには、めったにお出かけはしないけれど、
時々ゴルフ仲間に会う時に、着けていっては、
ほかの女性ゴルファーに羨望の眼差しと
賞賛の声をいただいているようです。

"ゴルフができなくなった"

というようなネガティブな心持ではなく、
とても晴れやかなお気持ちで、

「ゴルフは卒業よ!」

と、胸を張っているようなご様子。
わざわざ私に喜びのご報告に来ていただいたのでした。






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