スロージュエリー・ストーリィ


 ■ イニシャルのセオリー

しばらくお顔を見せなかった方が久しぶりに現れて、
「実家の母が亡くなりましてね。」
と、やや元気のないご様子でした。

「それで、形見というほどではないけれど・・・」
と、いろいろお持ちになったのです。

見るとネックレスのいろいろや、古い指輪の数々。

「よくわからないからみんな持ってきたのよ。」

そして、
「妹二人もいるから何かみんなで分け合える、いい方法がないかしら。」
といいます。

女3人姉妹の一番上。

妹さん二人はそれぞれ独立したけれど、
ご実家の近くに暮らしているとのこと。

ご実家のお母様の、突然の旅立ちは当然のこと、
とてもショックだったようです。

しかし、しばらくして落ち着きも取り戻し、
改めて遺品を姉妹で眺めてみると、
どれをとっても、3人がそれぞれ使えるに足るものは
見当たらないと思われたので、
私のところに相談に来たというわけです。




「使えない? そんなことはないですよ」
と私。

使えないとする素材の金は、間違いなく金ですし、
立派な石やダイヤではなくても、
使えるもの、生かせるものがあるのです。
デザインイメージ1

★そこで私が考えたスロージュエリー


デザインの発想は、
母の名の、イニシャルをモチーフにして
指環に作り直してはいかがでしょう。

デザインイメージ2 イニシャルを素材にするには、
注意が必要だと私は思います。

あからさまなイニシャルにするのは、
有名ブランドなどでない限り、
ともすると、幼過ぎる印象になります。

デザインイメージ3 やはり私は、大人に通用する
イニシャルの使い方にはセオリーがあると考えたいのです。

使う本人だけが、イニシャルを意識すればいい。

それ以外の人にはそうとはわからない、
それが大人のイニシャルの極意だと思う。




ご長女の方のこのリングを妹さんたちが見て感動し、
ならば私たちもということで、
何と、都合3点を作り上げ、
3人で亡き母への思いを分かち合うことにしたのでした。

完成!

「妹たちもみんな感激していました・・・ありがとうございました。」

お母様の残したもの、
ただそのままを3人で分け合うのは
意外と簡単ではないものです。

このように母の思いを込めて作り変える、
それが本当のファミリージュエリー
(親から子へ、世代を超えて伝えていけるジュエリー)

となるのだと思います。






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